NBAで負け続けているチームは弱いから?
わざと負けているんじゃないの?
タンクってなんか聞いたことあるけど、何?
そんな「わざと負けている」と思われるようなタンクと呼ばれるNBAにおける行為に関して、その理由や意味、罰則などに関して、今回は誰にでもわかりやすく解説していきます。
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NBAでわざと負けるのなんで?
わざと負ける理由は、「チームを再建(リビルド)」するためです。
そのために、チームはタンクと呼ばれる「わざと負けている」と思われるような行為をします。
NBAのタンクとは
タンクとは、「lose games on purpose」と呼ばれ、意図的に負けることを言います。
しかし、手を抜いて八百長のようにわざと負けているわけではなく、「負けるような選手のロスターやラインナップにしている」というほうが正解です。
例えばスター選手を長期間休ませるなどして、「どうやっても勝てないチーム」を作っているんです。
それを「タンク」と言います。
NBAでタンクをする理由
改めて「わざと負けるようなロスターを組む」タンクをする理由は、チームの再建のためです。
つまり、プレイオフに行けるか行けないかくらいの中途半端なチームでい続けるよりかは、チームを解体に近い形にして弱くし、もう一回プレイオフやNBAファイナルで勝てる(優勝できる)チームを作ることが目的です。
- ドラフト上位指名権を取る
- サラリーキャップの空きを作る
こうして、ドラフトで「すぐにでも長期にわたり即戦力になれる」有力選手を獲得するか、サラリーキャップの空きを作り「1人、2人ほどのスーパースター選手」をチームに入れて、大事な試合で勝てるようにします。
NBA30チームの強さの均衡を保つため、特にドラフトに関しては「1巡目1~3位」という最有力選手の権利は、リーグ最下位チームが優先されます。
そのため、チームは負ける必要があります。
NBAで有名なタンクの例
NBAの歴史の中でも、特に有名なタンクをいくつかご紹介します。
- 76ers(2013–14~2016–17)
- サンダー(2020–21)
- スパーズ(1996-97)
【NBAのタンクの例】フィラデルフィア76ers(2013–14~2016–17)
この中で最も有名なのは、76ersのGMサム・ヒンキーが起こした「Trust the process」
意味は「強くなる過程を信じろ」。
「Trust the process」が生み出した怪物が、ジョエル・エンビード。愛称は、「the process」
76ersは、こうして2014年1巡目3位のジョエルエンビードを獲得しました。まさに、タンク成功。
76ersは、タンク中以下のように負けに負け、開幕18連敗の記録も作っています。
シーズン | 勝 | 負 |
2013-14 | 19 | 63 |
2014-15 | 18 | 64 |
2015-16 | 10 | 72 |
2016-17 | 28 | 54 |
2015-16シーズンなんて、ウォーリアーズがたたき出した歴代最高勝率73勝9敗とほぼ真逆です。
このタンクのおかげで、2016年1巡目1位のベンシモンズも獲得しています。
【NBAのタンクの例】オクラホマシティーサンダー(2020–21)
一番最近のタンクと思われる例は、2020-21シーズンのオクラホマシティーサンダー(OKC)
当時OKCに在籍していたアル・フォーホードをケガもしていないのに、長期離脱させました。
選手にもチームにもウィンウィンのタンクだったため、フォーホードは十分活躍の場を見せることもできたため、フロントの意向を飲んだ形です。
【NBAのタンクの例】サンアントニオ・スパーズ(1996-97)
「サンアントニオスパーズで一番有名な選手は誰?」と聞かれた場合、カワイ・レナードやマヌ・ジノビリという人も多いかもしれませんが、やっぱりあの男。
ティムダンカン。
この男を取るために、勝率7割以上を誇ったスパーズが、1年間デビットロビンソンを休ませるというタンクを発動し、1996-97は20勝62敗と負けまくりました。
見事、The Big Fundamentalティムダンカンを1位指名で獲得し、ツインタワーを完成させました。
NBAはタンク禁止している?
NBAはタンクを明確に禁止はしていませんが、かなりグレーゾーンな行為ですし、公的に認めているわけでもありません。
そのため、NBAもタンクを行わないようにいくつかルール変更を行っています。
ドラフトのウェーバー制からロッタリー制へ
ドラフトにおいて、タンクをして最下位になれば1位指名権を得られるのが、ウェーバー制。
ウェーバー制なら、頑張ってタンクしたもの勝ちになってしまい、プレイオフに出られないチームが益々タンクを行うようになってしまいます。
そこで「ロッタリー(抽選)方式」を採用し、成績の悪いチームからドラフト1位の指名権を得る「確率」が上がるというものへ変更しました。
ロッタリー方式に変更することで、「絶対1位指名権を得られる」というわけではなくなったんです。
ただし、それでも最下位であるほうが得できるよう、2019年のNBAドラフトからは最下位のチームは5位以上の指名権が保証されるようになりました。
さらに、下位3チームの1位指名権獲得の確率は14%に統一されました。
1位指名権獲得確率
- チーム1:14.0%
- チーム2:14.0%
- チーム3:14.0%
- チーム4:12.5%
- チーム5:10.5%
- チーム6:9.0%
- チーム7:7.5%
- チーム8:6.0%
- チーム9:4.5%
- チーム10:3.0%
- チーム11:2.0%
- チーム12:1.5%
- チーム13:1.0%
- チーム14:0.5%
それでも、前年度に優勝したチームでも、確率はかなり低いですが1位指名権を得られる可能性があり、タンクをしたから絶対1位指名権を得られるわけではなくなりました。
タンクを公言したら罰金
タンクはグレーゾーンな戦略ですが、明確にタンクと言わなければ、罰則されません。ですが、明確に言ってしまったことで、罰則を受けたチームがあります。
ダラス・マーベリックスは、2017年にオーナーのマーク・キューバン氏がスポーツ番組「ダン・パトリックショー」で「若手選手を優先してコートに立たせるようにしていた」とタンクともとれる発言をしまったことにより、6,000万円ほどの罰金を受けたことがあります。
公言はしたものの、マブスのタンクは成功し、ルカ・ドンチッチを獲得しました。
戦略としてのタンクはあり?
確かにわざと負けているようなチームを応援するのは、ファンとしてもとても辛いですよね。
76ersのように、シーズン10勝しかしないチームを見ているのは、ファンをやめたくなる気持ちもあります。
ですが、今回紹介してきたマブスや76ers、スパーズのように、ドンチッチ、ティムダンカン、エンビードと明らかに次世代を担うスーパーエースを獲得しています。
76ersのGMサム・ヒンキーが言うように、「Trust the process」強くなる過程を楽しめば、今は暗く辛い時期が続くけれど、それを乗り越えた先に見たこともない最強の選手を中心としたチーム作りができるのであれば、ファンも未来を見ることができます。
サム・ヒンキーは2016年に解雇されていますが、今の76ersがあるのはサム・ヒンキーのおかげとも言えます。
現在は紹介したとおり、ドラフトがロッタリー制になったことで、必ず最強の選手を獲得できるわけではなくなりましたが、何年もプレイオフに出れないでいるよりは、一度チームを解体し、再建(リビルド)した方が逆に優勝への近道になるのかもしれません。
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